スーパームーンと女性を月に例えることについて
ヤママユ子の住む地域もずいぶん寒くなってきた。
寒くなるといつも拒食症の頃を思い出す。
寒くて寒くて、私を守ってくれる脂肪はなくて、守ってくれる人もいなくて、
からだの節々は骨同士がぶつかってできた痣が痛くて、
そしてそれは対して好きでなくてもいいから、男の人と一緒に居れば紛れる気がした。
その頃の自分は月のようだと思っていた。
大学の文学の先生が、女性を月に例えるのは「太陽のような女性」の反対のようなものだと言っていた。
月は寒く不毛な地で、それに女性を例えるのは、病的さや、不健全な美しさを表すときだと。
あの頃の私は、生理もなく、マッチ棒のような体で毎日毎日死にたい死にたいと考えて過ごしていた。
一日の食事がガム2粒ということもあった。
太陽のような女性、とは正反対だった。
私を必要とする誰かに出会いたかった。
悲しかった。寂しかった。
20代前半の、みんなが楽しんでいた時期を私は全て病気に持っていかれてしまった。
今でも悔しいし、がりがりの自分に今もし会えたら抱き締めてあげたい。
空にまるい月が浮かんでいる。
あの頃のことを思い出すと、今生きているというだけで安心するのだった。